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FX初心者向け解説

アメリカの金融政策を分かりやすく解説します

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前回の記事ではは日本の金融政策について、黒田バズーカと共に説明してきました。

しかし、外部環境が非常に重要で、その一つに米国の「利上げ」も含まれると解説しました。

では、今回はアメリカの金融政策について分かりやすく解説したいと思います。

 

アメリカの中央銀行(FRB)とは?

日本の中央銀行は「日本銀行」(BOJ=Bank Of Japan)ですね。

 

アメリカの中央銀行は「〇〇銀行」という名前ではありません。

「中央銀行制度」となっており、「FRS」(Federal Reserve Systemの略)と呼ばれます。

日本語にすると「連坊準備制度」です。

 

この「FRS」という中央銀行制度の最高意思決定機関が皆さん良く耳にされる「FRB」(Federal Reserve Board)です。

日本語にすると「連法準備制度理事会」です。

ワシントンに本拠地を置き、議員は7人で構成されます。

 

しかし、実はもう一つ「FRB」があります。Federal Reserve "Bank"であり、各地区で中央銀行の役割をする銀行で12の地区に点在しております。

日本語にすると、「地区連邦準備銀行」であり、以下の12地区です。

第1地区:ボストン連邦準備銀行
第2地区:ニューヨーク連邦準備銀行
第3地区:フィラデルフィア連邦準備銀行
第4地区:クリーブランド連邦準備銀行
第5地区:リッチモンド連邦準備銀行
第6地区:アトランタ連邦準備銀行
第7地区:シカゴ連邦準備銀行
第8地区:セントルイス連邦準備銀行
第9地区:ミネアポリス連邦準備銀行
第10地区:カンザスシティ連邦準備銀行
第11地区:ダラス連邦準備銀行
第12地区:サンフランシスコ連邦準備銀行

 

以降、2つの区別が必要な場合には

Federal Reserve "Board"を「連邦FRB」、Federal Reserve "Bank"を「地区FRB」、と使い分けますが、通常「FRB」と言えば「連邦FRB」のことです。

 

更に金融政策を決定する機関として「FOMC」(連邦公開市場委員会 (Federal Open Market Committee)があります。

これは、連邦FRBの議員7人とニューヨーク連銀総裁、各地区FRB総裁の輪番(4人)の計12人で構成されます。

FOMCは日銀の金融政策決定会合に当たり、アメリカの政策金利である「公定歩合」と「FF金利」を決めます。

「公定歩合」とは中央銀行であるFRBが普通の銀行にお金を貸すときのレートですが、通常FRBからお金を借りる銀行は少ないので、市場に与える影響も限定的です。

 

FF金利とは、「Federal Fund rate」のことですが、以下解説します。

アメリカでは、銀行は預金量に合わせて一定量を中央銀行に無利子の預金として預けなければなりません。

これを「フェデラルファンド」と言います。

中央銀行に預ける為に銀行間で資金の貸し借りを行うのですが、その市場を「フェデラルファンド市場」と言います。

このフェデラルファンド市場で用いられる金利が「FF(フェデラルファンド)金利」です。

 

FRBは直接「FF金利」を操作することが出来ないので、市場に出回る資金の供給量を操作することで「FF金利」を誘導します。

アメリカで言う「利上げ」とは、この「FF金利」のことを指しますので覚えておきましょう。

 

FOMCの定期開催は年8回行われますが、緊急事態が起こると不定期にも召集されます。

議事録には金利操作のみならず、アメリカの経済状況などの記載もされているので、今後の世界経済の指針として、FOMC議事録が発表された時には為替レートが大きく動きます。

 

現在のFRB議長 ジャネット・イエレン氏

【ジャネット・イエレン氏】

出典:wikipedia

 

第15代FRB議長ジャネット・イエレン氏です。何歳に見えますか?

1946年8月13日生まれの71歳です。おばあちゃんですね。。

(ちなみに史上初めての女性FRB議長です)

 

彼女はカリフォルニア大学のビジネススクールの先生でした。

その後サンフランシスコ連銀総裁を務め、2010年にFRBで副議長を務め、2014年から議長に就任しました。

FRB議長としての任期は2018年2月3日まで。

2008年のリーマンショック以降の時には、副議長として大規模な量的緩和政策を実行し、経済を回復させた立役者でもあり、評価が高いです。

 

また、現在の副議長は、スタンレー・フィッシャー氏。イスラエル中央銀行の元総裁でマサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭をとっていた時には、バーナンキ前FRB議長やドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁などにも教えたそうです。

次期FRB総裁と予想されている人物です。

 

【スタンレー・フィッシャー氏】

出典:wikipedia

 

米国金融政策の歴史を紐解く

まずは、長期の米国FF金利チャートをご覧ください。

 

日本もそうでしたが、アメリカも昔はかなりの高金利でした。

経済が成長する過程では、バブルとインフレを防ぐために高金利政策を取ります。

 

低金利政策になったのは、2000年ITバブルがはじけた時です。

時はネット全盛期。当時は「ドットコム」や「ネット」などがついていれば企業は簡単にお金を借りることが出来ました。

しかし、ネット企業の株価がどんどんと下がるにつれ、ネットバブルの崩壊が始まりました。

物価はどんどんと下がっていき、デフレに陥ってきた状態で当時FRB議長だったアラン・グリーンスパン(1987年8月11日 - 2006年1月31日)は金融緩和を行い、FF金利を6%超から1%まで低下させました。

市場の資金供給量を増やすことで、景気の回復を狙ったのです。

この低金利時代に組成されたのが、サブプライムローンです。

 

金利が安く市場にあふれたお金は、不動産市場に流れました。

不動産価格の上昇を背景に、低所得者でも返済できないローンを組むことが出来ました。

そのローン返済原資を証券化、証券会社はこの危うい証券を売りさばき莫大な利益を得ます。

 

その後、景気の立ち直りを感じたFRBは、金融引き締めに動きます。

2004年→2007年に1%→5%までFF金利の上昇を誘導しました。

 

バブルにより不動産の価格が上昇している間は問題ありませんでしたが、金融引き締めに走った結果、不動産価格の下落が始まり、低所得者は返済できない借入を返すことが出来ず、サブプライムローンが破たんしていきました。

(サブプライムローンは、時間が経つと金利が上昇するという特性を持っていたことも大きな原因です)

 

リーマン・ブラザーズはサブプライムローンの破たんによりお客さんである投資家に金利の支払いが出来ず破たん。

大量の社債も発行していましたので、この社債も価値がなくなり、金融市場は大混乱。

世の中で不動産も金融商品も売られまくり、大暴落となりました。

これがいわゆる「サブプライムローン」の破たんがもたらした「リーマン・ショック」です。

 

このダブルパンチにより景気は大きく後退。

 

FRBは景気拡大の為に金利を下げ続け、とうとう「実質ゼロ金利」までもっていきました。

ゼロ金利政策にしたときのFRB議長はベン・バーナンキさん、副議長がイエレンさんでした。

 

それから景気は上向き、米国の株価も上昇。

市場に出回るドルが増えますので、もちろんドル安になっていきました。

 

2008年当時のドル円は120円以上あったのですが、2011年には80円を切るまで下落しました。

日本もリーマン・ショック後の不況と円高による貿易収支悪化とダブルパンチを受けたのです。

 

それ以来、米国ではずっとゼロ金利政策がとられていましたが、ゼロ金利政策下でも米国経済が上向かなかったので、「金利」面のみならず、「量的緩和」を段階的に行ってきました。

それがQE(Quantitative Easing)と呼ばれ、合計で3回行われました。

 

アメリカの量的緩和政策 QE(Quantitative Easing)とは?

QE1(量的緩和政策第一弾)は2008年11月から2010年6月に実施され、FRBが「米国債」と「住宅ローン担保証券」を合計1兆7250億ドル買い取りました。

住宅ローン担保証券とは、「MBS」と呼ばれ、住宅ローンを証券化した商品であり、米国ではメジャーな金融商品です。

 

QE2(量的緩和政策第二弾)は、QE1が終了した後に景気回復ペースが鈍ったので、2010年11月~2011年6月に実施され、QE2では米国債が合計6000億ドル買い取られました。

 

この資金供給策により、ドル安円高が進み、米国ダウ平均も上昇しました。

 

【ドル円チャート(2008年11月~2010年6月)】

 

 

 

しかし、このQE1とQE2でも労働市場の改善は見込めず、2011年に入っても失業率は9%台に高止まりしていました。

 

そこで、QE3(第三弾量的金融緩和政策)が2012年9月に導入されました。

市場から住宅ローン担保証券(MBS)を月額400億ドル買い入れ。雇用市場が改善するまで継続し、無期限で更なる追加緩和もあり得るとしていました。

そして、既に行っていたゼロ金利政策を、2014年終盤の予定から2015年半ばまで延長するという方針も出し、「雇用の最大化」と「物価の安定」を目標に積極的に政策を進めました。

労働市場も改善し、QE1~QE3までの金融政策は市場に評価され、成功を納めました。

 

 

米国金融緩和をいつ終了させるか?

成功を収めたアメリカの金融緩和政策ですが、

問題は「ゼロ金利政策」と「量的金融緩和」をいつ方針転換し、市場から資金を引き揚げるかです。

 

FRBはまず「ゼロ金利政策」を維持した上で、「量的金融緩和」を縮小していきました。

この「量的金融緩和の縮小」をテーパリング(緩和逓減)と言います。

当時FRB議長だったバーナンキさんは、2013/5/22 の議会証言でこの「テーパリング」を行う可能性があると発言しました。

このテーパリングがいつから行われるのかは市場の関心を集めていましたが、結果的に2014年の1月から12月までに段階的に量的緩和を縮小していきました。

 

この「テーパリング」の途中にバーナンキさんの出番は終了。

イエレンさんに引き継がれます。

 

イエレンFRB議長の政策課題はゼロ金利政策の解除

バトンタッチを受けたイエレンさん、

「量的緩和の終了」は方向性が決まっていましたので、次は「ゼロ金利政策」をどうするかです。

 

2014年10月29日、FRBはQE3を10月で終了することを発表しましたが、テーパリングの途中から、ゼロ金利政策は「相当な期間維持する」と発表し続けました。

 

その後、米国経済指標を確認し、景気の回復を確信したイエレンさんは

2015年12月に0.25ポイントの利上げを決定しました。

 

その後、2016年12月にも同様0.25ポイントの利上げを発表。

 

市場も経済が上向いていることを認めており、この2回の「利上げ=金融引き締め」は市場にもネガティブに受け止められませんでした。

2016年12月に関しては、トランプ大統領選のどさくさに紛れた気がしなくもありませんが。

現在も、米国金融引き締めが第二のリーマン・ショックを起こさないように、利上げのタイミング慎重に見極めています。

 

以上、アメリカの金融政策の歴史についてやさしく解説しました。

 

市場が景気の回復を確認するには、上記失業率を始め、色々な指標があります。

重要な指標になると、一気に数円もレートが動くこともあり、FX投資を行う際には必ず把握してなければなりません。

 

この米国経済指標については、次回解説します。

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