前の記事ではスイングトレードについて解説しましたが、今回は長期トレードについて説明します。
長期トレードに欠かせないのが、ファンダメンタル分析です。
普通のサイトでは説明しないファンダメンタル分析の根本を超簡単に解説しますので、少し長いですがお付き合いを。
ファンダメンタル分析とは?
結論から簡単に言うと、
「円はこれから世界の人から必要にされるか、そうではないか」
を予想することです(円のトレードをする場合)。
なんのこっちゃ?と思う人もいると思うので、
以下、一般的な説明文書を記載します。
------------------------------------------------------------------------
ファンダメンタル分析とは、一般的には経済活動の状況を示す代表的な指標や、経済活動の実態そのもの。
基礎的条件と訳されることが多いです。
FXにおいては、米国の代表的な経済指標の発表や偉い人の発言や国の金融政策が、このファンダメンタル分析になってきます。
------------------------------------------------------------------------
分かりやすい例で言います。
「アベノミクスで円安に進むと考えて、ドル円のロングを長期的に保有する。」
これがファンダメンタル分析を用いたトレードです。
さて、実際にどう動いたのでしょうか。
【2012年前半から現在までのドル円チャート(日足)】
アベノミクス政権の評価は議論があるとしても、円安になったことは誰の目にも明らかです。
よく一般的なファンダメンタルズ分析の説明では、
「経済指標を把握しましょう!」
「偉い人の発言にはよく耳を傾けましょう!」
なんて説明を聞きますが、本腰を入れた長期トレードは目先の変化にとらわれてはだめです。
例えば株式投資の神様、「ウォーレン・バフェット」は、3年から5年や10年、時には永久的に株を保有するというくらいファンダメンタル分析を用いた株の長期トレードで有名になった人です。
FXの場合は株と違って円安や円高が永久に進んでいくことはありませんが、長期トレードの考え方としては王道です。
そもそも、円高・円安などはどのように決まるのでしょうか? 過去から今までの大きな流れをから把握することが必要です。
為替は需要と供給で決まる
これから円を基準に需要と供給の大きな流れを解説します。
通貨の値段はどうやって決まるのでしょうか? モノと同じで、「その通貨を欲しいと思う人が増えれば値段は上がります」
値段が上がるというのは、円の価値が上がる。つまり、円高ドル安になっていくことです。
まず、ドル円の超長期チャートを見てもらいましょう。
【1971年以降から2017年までのドル円チャート】
円はかつて「1ドル=360円」だったのは知ってますか?
それが1973年2月に変動相場制へ移行しました。
それから超長期的にみると、円高トレンドは変わらずです。
なぜドル円は超長期的に見て、円高トレンドなのか?
理由1:輸出産業の成長は、円高につながる。
日本の成長の歴史を考えてみましょう。
日本は高度経済成長期から輸出産業で経済発展をしてきた国です。
「円安は輸出企業にとって追い風になる。」という話は聞いたことがあると思います。
例えば、アメリカで50,000ドルの日本製の車が売れたとします。
1ドル200円だと、50,000ドルは1,000万円ですが、
1ドル100円だと、500万円になってしまいますね。
だから、円安にもっていくことが日本の成長になる!
ということでアベノミクスでは円安に誘導しました。
しかし、そもそものお金の流れを考えてみて下さい。
日本で作ったものがアメリカで売れて、日本企業はドルを獲得します。
日本企業はドルを日本円に両替します。すると、どうなるでしょうか?
日本企業が輸出で儲ける→日本企業がドルを円に両替する→円の需要が高まる→円の値段が上がる=円高になる。
という流れです。
自動車を始めとする輸出産業は、自分自身の経済活動により、結果的に円高にさせているのです。
理由2:日本円は安全資産として、世界から人気がある。
日本という国の信頼が円の価値を上げているという理由もあります。
例えば、外国ではクーデターや内乱や戦争やテロなど、色々な危険があります。
そのような危険がある国の通貨を欲しいと思う人は少なくなってきます。
例えば、あなたがブラジルに住んでいる富豪だとして、これからブラジルではインフレ(通貨の価値が下がっていく)が進んでいく。
自分の資産をどこか別の国の通貨にしておかないと。
と考えた場合、その時に戦争が起きていたり、経済発展するかどうかわからない国の通貨を買いますか?
答えはNoだと思います。
日本は経済的に安定しており、戦争が起きたりすることはなく、とても平和な国です。
つまり、「この国の通貨を買っておけば、致命的な暴落だったりのリスクはないだろう」と考える投資家が、世界経済が不安になると円を買います。
これが、円が安全資産と言われる理由です。
日本の金利変動から大局を見る
次に日本の金利を長期的に見てみましょう。
【5年物日本国債利回りチャート】
これは経済発展を続けてきた日本の銀行や証券会社が運用対象として国債を買い続けた結果、国債の価格が上昇した→国債の利回りが低下したことを表した図です。
よく、「日本は世界最大の借金国(債務が多い)だ!」 なんて言われますよね?
でも、その借金をしている先の多くは国内投資家や国内の金融機関であるために重大なデフォルト(債務不履行、借金が返せない)にはなりません。
ここまでを「超」簡単にまとめると、下のような流れになります。
戦後日本の輸出産業が活躍→日本が経済発展をする→円高と国債利回りの低下
アベノミクス政策の本質を探る
アベノミクスで円安傾向になったことは述べました。
じゃあなんで円安なのに、金利は下がり続けてるの?? という疑問が出てきますよね。
その疑問には次の表が答えてくれると思います。
【日銀の国債保有残高チャート】
日本の金融政策を決定する中央銀行である日銀が保有する国債の保有残高を表した図です。
今まで国債を買っていたのは国内の金融機関ですよね。
では、日銀の国債保有残高が増えるということは?
金融機関から日銀が国債を買い取っているのです。
その結果、国債価格の上昇が更なる利回りの低下を招いています。
日銀が買い取るということは、銀行で保有していた国債が現金に代わります。
銀行はそのお金を国内の企業に貸します。
つまり市場に出回る円が増えるのです。
日銀が国債を買うと、利回り低下→円安になる。
さて、ここで為替の話に戻ります。
円を欲しがる人が増えると円高でしたよね?
じゃあ、日銀の国債買い取りにより円の供給が増えたらどうなるのでしょう?
モノは需要と供給で値段が変わりますが、需要は変わらないのに供給が増えたら円の価値は下がります。つまりは円安です。
そこで、円安になったら輸出産業が利益を出して日本の経済が復活する!
これがアベノミクスが日銀と結託して行っている経済政策です。
でも、輸出産業が利益を出したら、結局円の需要が増えてまた円高に戻るのでは?
超長期的に考えれば日本が輸出で経済を支えているという構造を取っている限り、円高の進行は進むでしょう。
アメリカのファンダメンタル条件や金融政策はどうなのか。
円の話はしてきましたが、「円に対してドルはどうか」も重要です。
話を日本からアメリカに移してみましょう。
まずは、日本とアメリカの経常収支を見てみます。
【1980年からの日米経常収支チャート】
経常収支とは、「貿易収支(輸出額-輸入額)にサービス収支 、 第一次所得収支、第二次所得収支を加えたもの」です。
簡単に
経常収支が黒字=海外からお金が入る
経常収支が赤字=海外へお金が出ていく
と考えてください。
アメリカずっと赤字じゃん!
そうなんです。
アメリカは貿易収支も経常収支もずっと赤字なんです。それでも経済成長を続けている。なぜでしょうか?
簡単に言えば、国内販売で儲かっているんです。
「日本は原材料を国外から輸入して、加工して輸出することで儲かっている。」
「それによって発展してきた」と教科書で習ったと思います。
例えば、5,000円で原材料を買って、10,000円で輸出。
5,000円が日本国内に入ってきたお金→貿易収支黒字!
という流れです。
じゃあアメリカはどうなのか?
原材料を50ドルで売って、100ドルで自動車を買いました。
その100ドルの自動車をアメリカ国内で150ドルで売ってます。
国外に50ドルは出て行ってますが、国内で50ドル儲けてます。
この「国内で50ドル儲けている」ってどういうこと?どこから生まれてるの?って思いますよね。
それ、実は日本がお金を貸してるんです。
そのお金は「資本収支」と呼ばれています。
ファンダメンタルに重要な経常収支と資本収支を理解する。
簡単に言えば、
経常収支(赤字):輸入やサービスによってアメリカから出ていくお金
資本収支(黒字):海外から借金をしたり、投資をしてもらうことによって入ってくるお金
【アメリカの経常収支赤字と資本収支黒字の図】で説明します。
アメリカは輸出額より輸入が多いにも関わらず、海外から国内への設備投資や
国債を海外に売っていることでお金を調達してます。
では、日本からアメリカへの資本収支がなくなったらどうなるの?
アメリカ国内にお金がなくなるのでは?
そうなると結局日本から輸出した車も売れなくなり、両方にとって良くないんです。
アメリカは経常収支が赤字だけれども、経済発展をした理由がここにあります。
以下、簡単にまとめます。
貿易収支赤字=資本収支黒字である。
貿易収支が赤字でも、経済成長はできる。
資本収支が黒字ということは、海外からお金を調達できている。
トランプ大統領はアメリカ経済をどうしたいのか?
トランプ大統領は貿易赤字に対して、異常なまでに抵抗を示しています。
「日本はアメリカに車を買ってもらって潤っている。」
「アメリカの自動車産業がうまくいっていない原因は為替だ」
「日本や中国は不当に為替を操作して、儲けている。」
「アメリカもドル安にして、国内産業を豊かにしていくべきだ。」
確かにそうかもしれません。
でもそれはあくまで自動車業界や輸出業界に限ったことで、アメリカ全体の経済を考えると的はずれです。
だって、アメリカは「輸出より輸入が多い」んですから。
ドル安ってアメリカの輸入産業にとって痛い打撃ですよ。。
しかもその一方でトランプは、アメリカへの投資を強く求めてます。
製造工場をアメリカ国内に強引に持ってきたり、海外企業の投資を呼び込んだり。
これは「ドル高」政策です。
この政策を推し進めるということを考えるとトランプ政権においては、ドル高円安方向に行くと考えてます。
ただし、日本とアメリカの経常収支や資本収支、金融政策だけでは分かりません。
ユーロも大きく関係してきますし、冒頭述べた「円=安全資産」という概念もあり、世界経済全体の動きを見ることが重要です。
では、具体的にどうやって世界経済全体の動きを見るのか?
どのような経済指標や、重要人物の発言に気を付けるべきか?
次回解説します。
今回はファンダメンタル分析の根本を「超簡単」に解説しました。
FX初心者向け解説
ファンダメンタル分析とは? 分かりやすく解説します
更新日:
前の記事ではスイングトレードについて解説しましたが、今回は長期トレードについて説明します。
長期トレードに欠かせないのが、ファンダメンタル分析です。
普通のサイトでは説明しないファンダメンタル分析の根本を超簡単に解説しますので、少し長いですがお付き合いを。
目次
ファンダメンタル分析とは?
結論から簡単に言うと、
「円はこれから世界の人から必要にされるか、そうではないか」
を予想することです(円のトレードをする場合)。
なんのこっちゃ?と思う人もいると思うので、
以下、一般的な説明文書を記載します。
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ファンダメンタル分析とは、一般的には経済活動の状況を示す代表的な指標や、経済活動の実態そのもの。
基礎的条件と訳されることが多いです。
FXにおいては、米国の代表的な経済指標の発表や偉い人の発言や国の金融政策が、このファンダメンタル分析になってきます。
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分かりやすい例で言います。
「アベノミクスで円安に進むと考えて、ドル円のロングを長期的に保有する。」
これがファンダメンタル分析を用いたトレードです。
さて、実際にどう動いたのでしょうか。
【2012年前半から現在までのドル円チャート(日足)】
アベノミクス政権の評価は議論があるとしても、円安になったことは誰の目にも明らかです。
よく一般的なファンダメンタルズ分析の説明では、
「経済指標を把握しましょう!」
「偉い人の発言にはよく耳を傾けましょう!」
なんて説明を聞きますが、本腰を入れた長期トレードは目先の変化にとらわれてはだめです。
例えば株式投資の神様、「ウォーレン・バフェット」は、3年から5年や10年、時には永久的に株を保有するというくらいファンダメンタル分析を用いた株の長期トレードで有名になった人です。
FXの場合は株と違って円安や円高が永久に進んでいくことはありませんが、長期トレードの考え方としては王道です。
そもそも、円高・円安などはどのように決まるのでしょうか? 過去から今までの大きな流れをから把握することが必要です。
為替は需要と供給で決まる
これから円を基準に需要と供給の大きな流れを解説します。
通貨の値段はどうやって決まるのでしょうか? モノと同じで、「その通貨を欲しいと思う人が増えれば値段は上がります」
値段が上がるというのは、円の価値が上がる。つまり、円高ドル安になっていくことです。
まず、ドル円の超長期チャートを見てもらいましょう。
【1971年以降から2017年までのドル円チャート】
円はかつて「1ドル=360円」だったのは知ってますか?
それが1973年2月に変動相場制へ移行しました。
それから超長期的にみると、円高トレンドは変わらずです。
なぜドル円は超長期的に見て、円高トレンドなのか?
理由1:輸出産業の成長は、円高につながる。
日本の成長の歴史を考えてみましょう。
日本は高度経済成長期から輸出産業で経済発展をしてきた国です。
「円安は輸出企業にとって追い風になる。」という話は聞いたことがあると思います。
例えば、アメリカで50,000ドルの日本製の車が売れたとします。
1ドル200円だと、50,000ドルは1,000万円ですが、
1ドル100円だと、500万円になってしまいますね。
だから、円安にもっていくことが日本の成長になる!
ということでアベノミクスでは円安に誘導しました。
しかし、そもそものお金の流れを考えてみて下さい。
日本で作ったものがアメリカで売れて、日本企業はドルを獲得します。
日本企業はドルを日本円に両替します。すると、どうなるでしょうか?
日本企業が輸出で儲ける→日本企業がドルを円に両替する→円の需要が高まる→円の値段が上がる=円高になる。
という流れです。
自動車を始めとする輸出産業は、自分自身の経済活動により、結果的に円高にさせているのです。
理由2:日本円は安全資産として、世界から人気がある。
日本という国の信頼が円の価値を上げているという理由もあります。
例えば、外国ではクーデターや内乱や戦争やテロなど、色々な危険があります。
そのような危険がある国の通貨を欲しいと思う人は少なくなってきます。
例えば、あなたがブラジルに住んでいる富豪だとして、これからブラジルではインフレ(通貨の価値が下がっていく)が進んでいく。
自分の資産をどこか別の国の通貨にしておかないと。
と考えた場合、その時に戦争が起きていたり、経済発展するかどうかわからない国の通貨を買いますか?
答えはNoだと思います。
日本は経済的に安定しており、戦争が起きたりすることはなく、とても平和な国です。
つまり、「この国の通貨を買っておけば、致命的な暴落だったりのリスクはないだろう」と考える投資家が、世界経済が不安になると円を買います。
これが、円が安全資産と言われる理由です。
日本の金利変動から大局を見る
次に日本の金利を長期的に見てみましょう。
【5年物日本国債利回りチャート】
これは経済発展を続けてきた日本の銀行や証券会社が運用対象として国債を買い続けた結果、国債の価格が上昇した→国債の利回りが低下したことを表した図です。
よく、「日本は世界最大の借金国(債務が多い)だ!」 なんて言われますよね?
でも、その借金をしている先の多くは国内投資家や国内の金融機関であるために重大なデフォルト(債務不履行、借金が返せない)にはなりません。
ここまでを「超」簡単にまとめると、下のような流れになります。
戦後日本の輸出産業が活躍→日本が経済発展をする→円高と国債利回りの低下
アベノミクス政策の本質を探る
アベノミクスで円安傾向になったことは述べました。
じゃあなんで円安なのに、金利は下がり続けてるの?? という疑問が出てきますよね。
その疑問には次の表が答えてくれると思います。
【日銀の国債保有残高チャート】
日本の金融政策を決定する中央銀行である日銀が保有する国債の保有残高を表した図です。
今まで国債を買っていたのは国内の金融機関ですよね。
では、日銀の国債保有残高が増えるということは?
金融機関から日銀が国債を買い取っているのです。
その結果、国債価格の上昇が更なる利回りの低下を招いています。
日銀が買い取るということは、銀行で保有していた国債が現金に代わります。
銀行はそのお金を国内の企業に貸します。
つまり市場に出回る円が増えるのです。
日銀が国債を買うと、利回り低下→円安になる。
さて、ここで為替の話に戻ります。
円を欲しがる人が増えると円高でしたよね?
じゃあ、日銀の国債買い取りにより円の供給が増えたらどうなるのでしょう?
モノは需要と供給で値段が変わりますが、需要は変わらないのに供給が増えたら円の価値は下がります。つまりは円安です。
そこで、円安になったら輸出産業が利益を出して日本の経済が復活する!
これがアベノミクスが日銀と結託して行っている経済政策です。
でも、輸出産業が利益を出したら、結局円の需要が増えてまた円高に戻るのでは?
超長期的に考えれば日本が輸出で経済を支えているという構造を取っている限り、円高の進行は進むでしょう。
アメリカのファンダメンタル条件や金融政策はどうなのか。
円の話はしてきましたが、「円に対してドルはどうか」も重要です。
話を日本からアメリカに移してみましょう。
まずは、日本とアメリカの経常収支を見てみます。
【1980年からの日米経常収支チャート】
経常収支とは、「貿易収支(輸出額-輸入額)にサービス収支 、 第一次所得収支、第二次所得収支を加えたもの」です。
簡単に
経常収支が黒字=海外からお金が入る
経常収支が赤字=海外へお金が出ていく
と考えてください。
アメリカずっと赤字じゃん!
そうなんです。
アメリカは貿易収支も経常収支もずっと赤字なんです。それでも経済成長を続けている。なぜでしょうか?
簡単に言えば、国内販売で儲かっているんです。
「日本は原材料を国外から輸入して、加工して輸出することで儲かっている。」
「それによって発展してきた」と教科書で習ったと思います。
例えば、5,000円で原材料を買って、10,000円で輸出。
5,000円が日本国内に入ってきたお金→貿易収支黒字!
という流れです。
じゃあアメリカはどうなのか?
原材料を50ドルで売って、100ドルで自動車を買いました。
その100ドルの自動車をアメリカ国内で150ドルで売ってます。
国外に50ドルは出て行ってますが、国内で50ドル儲けてます。
この「国内で50ドル儲けている」ってどういうこと?どこから生まれてるの?って思いますよね。
それ、実は日本がお金を貸してるんです。
そのお金は「資本収支」と呼ばれています。
ファンダメンタルに重要な経常収支と資本収支を理解する。
簡単に言えば、
経常収支(赤字):輸入やサービスによってアメリカから出ていくお金
資本収支(黒字):海外から借金をしたり、投資をしてもらうことによって入ってくるお金
【アメリカの経常収支赤字と資本収支黒字の図】で説明します。
アメリカは輸出額より輸入が多いにも関わらず、海外から国内への設備投資や
国債を海外に売っていることでお金を調達してます。
では、日本からアメリカへの資本収支がなくなったらどうなるの?
アメリカ国内にお金がなくなるのでは?
そうなると結局日本から輸出した車も売れなくなり、両方にとって良くないんです。
アメリカは経常収支が赤字だけれども、経済発展をした理由がここにあります。
以下、簡単にまとめます。
貿易収支赤字=資本収支黒字である。
貿易収支が赤字でも、経済成長はできる。
資本収支が黒字ということは、海外からお金を調達できている。
トランプ大統領はアメリカ経済をどうしたいのか?
トランプ大統領は貿易赤字に対して、異常なまでに抵抗を示しています。
「日本はアメリカに車を買ってもらって潤っている。」
「アメリカの自動車産業がうまくいっていない原因は為替だ」
「日本や中国は不当に為替を操作して、儲けている。」
「アメリカもドル安にして、国内産業を豊かにしていくべきだ。」
確かにそうかもしれません。
でもそれはあくまで自動車業界や輸出業界に限ったことで、アメリカ全体の経済を考えると的はずれです。
だって、アメリカは「輸出より輸入が多い」んですから。
ドル安ってアメリカの輸入産業にとって痛い打撃ですよ。。
しかもその一方でトランプは、アメリカへの投資を強く求めてます。
製造工場をアメリカ国内に強引に持ってきたり、海外企業の投資を呼び込んだり。
これは「ドル高」政策です。
この政策を推し進めるということを考えるとトランプ政権においては、ドル高円安方向に行くと考えてます。
ただし、日本とアメリカの経常収支や資本収支、金融政策だけでは分かりません。
ユーロも大きく関係してきますし、冒頭述べた「円=安全資産」という概念もあり、世界経済全体の動きを見ることが重要です。
では、具体的にどうやって世界経済全体の動きを見るのか?
どのような経済指標や、重要人物の発言に気を付けるべきか?
次回解説します。
今回はファンダメンタル分析の根本を「超簡単」に解説しました。
-FX初心者向け解説
-FX, ファンダメンタル分析